契約社員として働いていた頃、私の手取りは月12万円ほどでした。
その会社を辞めたあと、公務員試験に挑戦しましたが、最終試験まで進んだものの不採用。
公務員への挑戦は1年だけと決めていたので、その後は気持ちを切り替えて、正社員として働ける会社を探しました。
そして20代後半、ようやく初めて正社員として採用されました。
ただ、正社員になったからといって、すぐに生活が安定したわけではありませんでした。
28歳で初めて年収300万円を超えた
転職先は、インターネットショップを運営する会社でした。
アクセス分析やバイヤー業務のほか、出荷作業、受注データの処理、お客様からの問い合わせ対応など、かなり幅広い仕事をしていました。
社員が少なく、全員が複数の業務をこなさないと回らない会社でした。
でも、この会社に転職して初めて、年収が300万円を超えました。
28歳の頃です。
そして、生まれて初めてボーナスを受け取りました。
「正社員になるとこんなにも待遇が変わるのか!」と衝撃を受けた出来事でした。
収入が増えても、節約生活はほとんど変わらなかった
収入は増えました。
でも、生活の基本は契約社員時代とほとんど変わりませんでした。
自動販売機では、ほとんど飲み物を買わない。
職場でもらえる飲み物があれば、それを飲む。
コンビニは高いので、なるべく使わない。
日用品や食料品はディスカウントストアなど、少しでも安い店で買う。
友人と出かけるとき以外は自炊する。
10円でも安い店があれば、多少遠くても買いに行く。
当時は今以上に、
「時間よりお金」
という感覚が強かったと思います。
安い商品を求めて、何店舗も店を回ることもありました。
今なら、
「その時間を別のことに使った方が得では?」
と思うこともあります。
でも当時は、10円、100円を節約することの方が重要でした。
それでも、できるようになったことは増えた
一方で、収入が増えたことで、それまで我慢していたことが少しずつできるようになりました。
友人から食事に誘われたとき、
「お金がないから」
という理由で断ることが減りました。
旅行や外食も、少しずつ楽しめるようになりました。
趣味で続けていたフットサルにもお金を使いました。
ウェアやシューズなどの道具を買ったり、チームの活動費を払ったり。
必要だと思ったものを、以前ほど悩まずに買えるようにもなりました。
車を持つようになったのもこの頃です。
贅沢のためではなく、飼っていた犬を病院へ連れて行くために必要だったことが大きな理由でした。
当時はパートナーと一緒に暮らしていたため、一人暮らしより生活費を抑えられていたことも、車を所有できた理由のひとつだったと思います。
つまり、生活水準を一気に上げたわけではありません。
「必要だけれど、お金がなくてできなかったこと」が、少しずつできるようになった。
そんな感覚でした。
なぜ収入が増えても、お金を使えなかったのか
収入が増えたのに、なぜ生活水準を上げなかったのか。
今振り返ると、その理由は単純な節約好きだけではありません。
怖かったのだと思います。
会社がいつ潰れるか分からない。
リストラされるかもしれない。
また正社員として働けなくなるかもしれない。
体調を崩して、仕事そのものができなくなるかもしれない。
一度、手取り12万円で生活した経験があったからこそ、
「今の収入がずっと続く保証はない」
という感覚が強く残っていました。
特に、正社員になるまで苦労した経験は大きかったと思います。
せっかく正社員になれても、それが一生続くとは限らない。
そう考えると、収入が増えたからといって、気軽に生活水準を上げることはできませんでした。
老後への不安も、ずっとあった
もうひとつ大きかったのが、老後への不安です。
それまで収入が低かった時期が長かったため、
「将来もらえる年金は、それほど多くないだろう」
ということは何となく分かっていました。
定年まで働けたとして、その後どうやって生活するのか。
当時は今のようにFIREを目指していたわけではありません。
投資についても、ほとんど知識がありませんでした。
むしろ、
「投資=ギャンブル」
くらいに考えていました。
だから、将来への備えといえば、ひたすら貯金することでした。
ボーナスが入っても、ほとんど使わず貯金。
毎月余ったお金も貯金。
銀行口座の残高が増えていくことで、
「これだけあれば、何かあってもしばらく生きていける」
という安心感を得ていたのだと思います。
頑張って貯めたお金を使うのが怖かった
今思えば、少し極端だった部分もあります。
欲しいものがあっても、すぐには買いませんでした。
本当に必要なのか。
何回使うのか。
もっと安く買えないか。
ポイントが多くつく日はないか。
セールはないか。
何度も考えてから買っていました。
ネット通販を使うようになってからも、ポイント倍率やセールのタイミングはかなり気にしていました。
移動できる距離なら自転車で移動する。
食材も少しでも安い店を探す。
周囲から見れば、
「かなりケチ」
だったと思います。
でも、自分の中では、
「頑張って貯めたお金を無駄にしたくない」
という気持ちの方が強かったです。
一度使ってしまったお金は戻ってこない。
だから、使う前に何度も考える。
そんな習慣ができていました。
32歳で初めて中古マンションを購入
32歳のとき、初めて中古マンションを購入しました。
契約社員だった頃は、クレジットカードの審査すら通らなかったことがあります。
それが数年後には、住宅ローンを組めるようになっていました。
これは、自分の中ではかなり大きな変化でした。
住宅を購入したきっかけのひとつは、母からのアドバイスです。
「家賃をずっと払い続けるくらいなら、家を買えば資産になる」
と言われました。
母自身、不動産を所有・運用した経験があったので、その影響も大きかったと思います。
母に頭金の一部も助けてもらい、住宅購入に踏み切りました。
当時の私は投資信託も株式投資もしていません。
「投資」という言葉には、むしろ警戒心を持っていました。
それでも、
住宅なら、家賃として消えていくお金を資産に変えられる
と考えました。
今なら「住宅を買えば必ず資産になる」と単純には考えません。
購入価格、売却価格、住宅ローン、管理費、修繕積立金、税金、売買時の諸費用まで考えなければ、本当に得だったのかは分かりません。
実際、その後私は中古マンションを何度か売買することになります。
その話は、また別の記事で詳しく書きたいと思います。
生活水準を上げなかったことが、今の資産形成につながっている
収入が増えたら、それに合わせて支出も増やす。
当時の私は、それをしませんでした。
というより、
怖くてできなかった
という方が正確です。
いつ収入がなくなるか分からない。
また低収入に戻るかもしれない。
将来の年金も不安。
だから、使えるようになったからといって全部は使わない。
必要なものには使う。
大切な人との食事や旅行、趣味にも少しずつ使う。
でも、それ以外の生活水準はなるべく上げない。
結果として、この習慣はその後の資産形成にかなり役立ちました。
収入が増えても支出を同じだけ増やさなければ、その差額を貯蓄に回せます。
今ならその一部を投資にも回しています。
20代の私は、そんな理屈を考えて節約していたわけではありません。
ただ将来が怖くて、貯金していただけです。
それでも、
「収入が増えても生活水準を簡単に上げない」
という習慣は、今の私にとってかなり大きな財産になっています。
一方で、今は昔のように10円安い商品を買うために何店舗も回るような節約はしません。
お金だけではなく、時間にも価値があると考えるようになったからです。
節約するところは節約する。
でも、健康や時間、大切な人との経験には使う。
20代の頃は、とにかく「使わない」が中心でした。
今は、
「何に使わないか」だけではなく、「何になら使っていいか」
を考えるようになっています。
手取り12万円だった頃から続いてきた私の節約も、少しずつ形を変えてきました。


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